介護業界におけるICTの必要性

急速に進む高齢化社会で、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすために、患者に親身に寄り添い、地域の介護業界を支える「かかりつけ医」の役割は重要です。患者の症状や病歴、また健康状態を把握しているので、もしもの時も素早い対応が出来るうえ、入院や検査などが必要な場合には、適切な病院や診療科を紹介してもらえます。さらに食事や運動など、日常の健康管理のアドバイスもしてもらえるといったメリットがあります。

しかし、医療機関や医師が不足している地方や離島では、そうはいかない現状があります。よってテレビ電話などの情報通信技術、いわゆるICTを活用した遠隔診療で患者それぞれの「かかりつけ医」を持つことは、地域の介護業界において必要不可欠です。その場合、医師などによる一方的な指示のみではなく、保健師、地域の医療機関、ケアマネージャー、地域の介護施設、民生委員、行政などの多種職や住民と連携しながら、地域全体で介護業界を支えることが必要になってきます。また、スマートフォンなど情報通信機を使いICTを活用する、遠隔医療サービスに取り組むベンチャー企業も増加傾向にあります。これは離島など医師不足の地域に限らず、自宅で手軽に受診できるため、在宅介護をしている方など、都市部にも需要は多いのです。

これからの高齢化社会において、医療や介護、また生活支援を地域で一体的に提供する地域包括ケアが望まれています。しかし地域ごとに介護ニーズや少子高齢化の速度も全く異なります。変化に対応するためには、介護の現場でのICTの活用など、各地の実情に応じたネットワークを構築することが求められているのです。